日本青年会議所 建設部会 2026年度 部会長所信
【はじめに】
「志縁共創」
この言葉には、高き志を抱き、縁ある仲間と絆を深め
互いの強みを活かし合い、新たな価値を創造するという想いが込められています。
私たちは利他の精神を胸に、縁ある人や地域社会のために大志を掲げ、その実現のために己を磨き続けなければなりません。
社会を豊かにし、社業を発展させる志には、年齢や立場は関係ありません。
まさに私たちが大切にすべき言葉であると確信しています。
【未来を拓く創立60周年記念式典】
1966年10月に日本青年会議所建設部会(以下 日本JC建設部会)は設立され、その設立趣意書には以下のように記されています。
「終戦以来、わが国の建設関係の業界も、経済の発展と共に大いに発展したとは言え、業界内部の問題は山積みされており、諸問題の解決にわれわれは日夜努力を重ねております。この時に当り、建設関係の業に携わるJCメンバーはJC綱領を基盤として相互の連携を取り、青年としての英知と勇気と情熱をもって日本の建設産業の正しい発展と日本文化の向上の一翼を担うべくここに日本JC建設部会の設立を提唱するものであります。」
時代は大きく変化しましたが、設立から59年を迎えた現在もこの建設部会の使命は変わっていません。近年では、生産年齢人口の減少に伴う人手不足や資材価格の高騰などを背景に、2024年には過去10年で最多となる1890件以上の建設会社が倒産しました。さらに労働環境の改善や技術継承、事業継承などの課題があります。
しかし、私たちは変わりゆく時代の中で、縁ある仲間と共に課題解決に向けて研鑽し、乗り越えてきました。それこそが、日本JC建設部会の「組織力」の証です。だからこそ、歴史を紡いでこられた先輩諸氏への感謝を胸に、私たちは未来へと更なる発展を遂げ
なければなりません。
本年度は、建設部会創立60周年という節目の年となります。全国各地に広がる30の建設クラブ、約2,000名の会員と共に、より強固なネットワークを築き上げ、明るい未来を拓くために創立60周年式典を開催いたします。この式典は全国の仲間との出会いを生み、一人ひとりの高い志をより明確に抱く機会となるでしょう。そして必ずや、各地建設クラブと会員企業の更なる発展につながるものと確信しています。
【災害大国日本を支える我々の使命と誇り】
近年、気候変動の影響により気象災害は激甚化、頻発化するとともに南海トラフ地震や首都直下地震など大規模地震の発生も危惧されています。さらに、高度経済成長期に整備されたインフラの老朽化が進行し、2025年1月に発生した埼玉県八潮市の道路陥没事故のような悲惨な事故が各地で起こり得る状況にあります。
現在、国土強靭化対策のもとでインフラ整備を主とした中長期的防災・減災の取り組みが行われており、国や地方自治体でその地域の災害特性に合わせた整備が行われています。私たち地域建設産業は災害発生時に応急復旧から恒久復旧までの対応が求められています。その対象は個人や企業、地方自治体など多岐にわたり、私たちは社会を支える担い手としての責任を負っています。災害大国日本を支えることは私たちに課せられ使命であると同時に私たちの誇りでもあります。その誇りを胸に更なる防災・減災の知見を磨き上げることが不可欠であります。
本年度は、災害時に即応できる強靭な組織を構築するため、必要な知識を身につけ、一人ひとりが自らの防災力を高める取り組みを進めます。その先に、建設産業の役割を改めて確立し、未来の安心と安全な社会を築いてまいります。
【世界の建設産業に触れ、大局をみる】
日本の建設技術は耐震性や安全性、信頼性の観点からODA(政府開発援助)を通じて世界から高い評価を受けています。また、東南アジアへ投資比率を高める日本企業が増加しており、私たちの技術力が世界で求められていることを示しています。
しかし、私たちは島国で生まれ育ち、国外を遠い存在と捉える傾向があります。確かに多くの会員は中小企業の経営者や従業員であり、日々の活動の場は国内に限られています。だからこそ、私たちは世界の建設産業に触れ、固定概念を打ち破り、多様な文化や価
値観を学ぶ必要があります。今後の世界はデジタル技術を活用したIoTやAI産業の発展により、さらに世界との距離が近くなります。この時代を生き抜く私たちは世界の建設産業に触れ、大局を見据える力が求められます。
本年度は、日本JC建設部会の会員が海外視察研修を通じて新たな価値観を学び、自らの社業を振り返り、未来を切り拓く大局観を養う機会を提供します。私たちは、この学びを地域社会や社業の発展、さらには建設産業全体の成長へとつなげてまいります。
【建設産業の課題を共有し、課題解決の一助となる】
近年、働き方改革による労働環境の変化や生産年齢人口の減少による人手不足など、建設産業の課題は多岐にわたっています。私たちが個人または一企業として、課題解決に向けて取り組むには限界があり、根本的な課題解決に向けた行政への提案や建設的な交流を図れる場が必要となります。そのためには、業界団体としての組織力が欠かせません。そして、その役割を担うのが日本JC建設部会です。私たちは全国各地にネットワークを有し、現役およびシニア会員と様々な世代が地域社会で事業を営んでいる組織であります。さらに、建設産業の中でも多様な業種の事業者が集まり、異なる観点から課題を捉えることができる稀有な組織であります。だからこそ、私たちは各々の立場から地域課題を抽出し、より良い社会の実現に向けて、課題解決に取り組む責任があります。
本年度は、全国各地の課題を集約し、会員と共有することで、一人ひとりが主体的に課題解決へ取り組む姿勢を醸成し、その実現に向けて官公庁との意見交換会を実施いたします。
【明るい未来のために、己を磨き、人を育む】
日本企業の多くは終身雇用制度を採用し、長らく文化として定着してきました。しかし近年、若年層を中心に人材の流動化が進み、正規雇用者の転職希望者数は過去10年間で約200万人も増加しています。自らに合った会社や労働環境を選べることは社会全体にとってメリットがある一方で、経営者にとっては人材流出への不安が残ります。では、私たちにできることは何でしょうか。
私は企業理念を体現し、自らの背中を見せることで、共に働く仲間に同じ志を持って共感してもらうことが、一つの解決策だと確信しています。建設部会の会員は各地青年会議所に所属し、理念に共感した仲間と共に自己成長に励んでいます。ビジネスを中心とした
交流を通じて会員企業が発展していくためには、私たち自身が学び続け、人を育てる人材となり、人を育む組織へと成長しなければなりません。
本年度は、人材採用や人材教育、そして強固な組織づくりの観点から会員一人ひとりの資質向上を図り、会員企業のさらなる発展に資する定例会を実施いたします。
【会員拡大が豊かな社会づくりにつながる】
日本青年会議所業種別連絡会議に属する業種別部会の中でも、建設部会が最も多い人数を有しています。全国各地の現役会員、シニア会員が一緒に活動できることが最大の強みです。しかし、現役会員なくしては、綱領に定められた「ビジネスを中心としての交流」も、「真に豊かな社会づくり」も実現できません。会員拡大を続けることができれば、この組織は新たな価値観やより多くの学びを得ることができます。会員拡大は未来を切り拓く原動力であり、豊かな社会づくりを加速させる力となるのです。
本年度は、日本JC建設部会の魅力を広く発信し、会員拡大を推進することで、会員一人ひとりの資質向上を図り、真に豊かな社会づくりに貢献できる組織力を高めてまいります。その一環として、サマーコンファレンスにおいてブース出展を行い、次代を担う多くの人材を獲得してまいります。
【感謝を伝えて、夢を語る】
私たちは利他の精神を胸に、自己研鑽を重ねながら建設部会の活動に励んでいます。それは私たちにとって必要不可欠であり、尊い営みです。しかし、その活動は何かを犠牲にしなければ成り立ちません。その一つが大切な人との時間ではないでしょうか。
だからこそ、私たちにとって大切な人に日本JC建設部会を知っていただき、日々支えてくれていることへの感謝を伝え、共に未来の夢を語り合うことが必要です。社会インフラという「当たり前」を守り支えている私たちだからこそ、身近な「当たり前」を支えている人への感謝の心を持ち続けるべきであります。
本年度は、家族や大切な人に感謝を伝え、互いの夢を語り合うことで、私たち自身が幸福感に満ちた素晴らしい時間を共有できるような定例会を実施いたします。
【おわりに】
私は「縁ある人との信頼と絆を深め、その縁を大きく育み、共に豊かさを実現する」と
いう信念を抱いています。建設部会に入会し、先輩諸氏や仲間との出会いは、私にとってかけがえのない財産となりました。その縁は新たな学びや機会を与え、私自身の成長を大きく後押ししてくれています。2026年度日本JC建設部会は「志縁共創~利他を貫き、己を磨く建設部会~」をスローガンに掲げ、縁ある皆様の資質向上と会員企業の成長の一助となるべく、全身全霊で取り組んでまいります。
これまで59年間にわたり建設部会を支えてこられた先輩諸氏に心からの感謝を捧げ、その想いを受け継ぐ現役会員と共に未来を切り拓いてまいります。2026年度の活動が皆様にとって意義深く希望に満ちた一年となることを、ここに力強く誓います。

